はじめに
私はパソコンを数台所有しておりますが、最新のパソコンは1台だけで 貧乏人もRyzenで作る で御紹介させていただいた通りです。このパソコンは性能が卓越しており、今まで速いと思っていた i7 980Xの倍の速度で動作するのには驚きました。
今まで2時間以上掛かっていたデータベースの構築が1時間ちょっとで終了するのですから、私から見れば脅威的な速度アップと言えます。
データベースの構築が速いのは、シングルスレッド処理が桁外れに速いためです。
他の4台のパソコンは、保守の観点から全て第一世代のLGA1366タイプのCPUを使っておりますが、その遅さに耐え兼ねてきましたので、もう1台最新のAMDを使ったパソコンを作りたいと兼ねがね思っておりました。
それで、2台目は出来るだけ安く作りたいと思い、最新のCPUを搭載できるマザーボードを物色しておりました。
私の場合は高価なグラフィックボードが必要なゲームはやりませんし、容量の大きい電源も購入したくありませんので、手持ちの600~800Wの物を流用したいと考えておりました。新規に購入するのはマザーボードとCPUとメモリーだけになります。M.2のSSDを搭載するスロットは必要ですが、当面は通常のSSDでも遅いとは感じませんので、前述の3点だけで十分です。ただ、CPUクーラーは前回に組み立てた時の付属品がありますので、それを流用できるのですが、CPUの発熱が最大クロック時は想像していたよりも多くて、付属のCPUクーラーは今回も交換したいと考えております。
購入する部品
CPU
最初に決めなければいけない部品でしょうが、実は最新のCPUの条件では選択枝は1種類しかありません。
それは、「Ryzen 5 5600X」になります。インテル系でも最新のCPUはシングルスレッド処理が速い製品もありますが、爆熱だったり、やたら消費電力が多きかったり、高価だったりしてAMDと肩を並べるレベルになるには当分先になりそうです。
AMDの最近発表した製品では「Ryzen 5 5600G」や「Ryzen 7 5700G」がありますが、「Ryzen 5 5600G」は「Ryzen 5 5600X」の安価版と言える製品で、グラフィックボードを買わなくても良いので会社などで使う分には良いのでしょうが、値段が5000円安いのを見ても判るように、性能が1ランク下です。
「Ryzen 7 5700G」は値段が「Ryzen 5 5600X」より7000~8000円高いのですが、それでも「Ryzen 5 5600X」よりも性能が劣ります。
私が性能と言っているのは、主にシングルスレッド処理なのですが、いくら多コア時代とは言ってもシングルスレッド処理が遅いCPUは全ての処理に影響を与えます。
この差がどこで出るのかですが、「L3キャッシュ」の搭載量によるもののようです。
「Ryzen 5 5600X」は「L3キャッシュ」を32MB搭載しているのですが、「Ryzen 5 5600G」や「Ryzen 7 5700G」は「L3キャッシュ」を16MBしか搭載しておりません。たった16MBの差ですが、この差が5000円以上の価格差を生みだしているのです。(価格差は販売戦略上の理由の場合もあります)
AMDには「Ryzen 5 5600X」の上位CPUとして「Ryzen 7 5800X」がありますが、これなら「L3キャッシュ」を32MB搭載しておりますので機能は同等以上ですが、値段は「Ryzen 5 5600X」が35000円前後なのに対して55000円前後となり、コストパフォーマンスが非常に悪いです。
それを買うぐらいなら、更に上位CPUの「Ryzen 9 5900X」や「Ryzen 9 5950X」のような「L3キャッシュ」が64MBのCPUを選ぶべきでしょう。
パソコン使用目的がゲームであるなら、選択枝は最上位のCPUと最上位のグラフィックボードを購入するべきでしょう。
ご存知の方も多いと思いますが、2022年の4月20日に「Ryzen 7 5800X3D」と言う新CPUがAMDから発売されます。(想定売価449ドル)
「Ryzen 7 5800X」の改良版ですが、ゲーム性能が「Ryzen 9 5900Xと比較して2割程度向上しているそうです。
「L3キャッシュ」が「Ryzen 7 5800X」の3倍の96MBもあるそうですから、その効果が大きいのでしょう。
その影響からか「Ryzen 7 5800X」の価格の下落が始まったようです。オークションでは出品時に30000万円前後の値段を付ける出品者が多くなっています。
4月20日になれば、「Ryzen 7 5800X3D」の日本での販売価格や、ベンチマークの結果が出ますので、「Ryzen 7 5800X」を買い急ぐ必要はないと思います。
ヤフオクでの「Ryzen 7 5800X」の相場も下降気味で、出品者は30000円前後で出品して、落札価格は42000円前後です。しばらく、この傾向が続くでしょう。
CPUクーラーについて
まず、以下のヤフオクの画像を見てください。
CPUクーラーを探していた時に見つけたのですが、これがクーラーだとすぐに判った方はクーラーの通だと思います。
2012年の2月頃に「NOFAN」から発売されたもので、いわゆる無音のCPUクーラーです。値段は1万円前後でした。
TDPが95Wまで耐えられるそうですが、完全無風状態では無理のようです。当時はCPUがLGA775でしたから、何とか持ったでしょうが、今はクーラーにもファンを取り付けないとオーバーヒートしますね。それにCPU周辺にも風を送らないとメモリーやCPUの電源周りがオーバーヒートする恐れがあります。
ニッケルメッキ無しのタイプもあって、こちらは4000~5000円安くなります。
取り付け金具です。
上から覗いた画像です。
マザーボードに取り付けた状態です。 いかに巨大なクーラーであるのか実感できますね。
実はメッキ無しのタイプが2000円弱でオークションに出ていて、昨日(2022年3月6日)が終了日だったので、からかいで落札しようと思っていたのですが、2人が競っていて、最終的には4700円で終了しました。こんな時代遅れのCPUクーラーに4700円も出す人の気が知れません。相当なアホです。
ちなみに私が落札しようかと思ったのは、 YOU TUBE(https://www.youtube.com/watch?v=ArJjI0F32rU)で、このクーラーを使ってRyzenで動かしていた人が居たからです。別な人の話ですが、クーラーの内部に8cm角のファンが入る(余分な穴が底部に多数あるので取り付けは容易)ので、それを入れると温度が20度C低下するそうです。
買ってはいけないCPUクーラー
まず、現在出品されているヤフオクの画像を見てください。
尚、掲載画像はデッドコピーではありません。掲載内容を間違えている場合がありますので、オークションが終了していない場合は、実際のサイトで確認してください。
サイズのコピー品ではないかと思っておりますが、サイズの製品も含めて、この構成では冷却能力が不足して使えません。
一日1,2時間しかパソコンを使用しない標準的なユーザーなら、問題なく使える(サーマルスロットリングが働いても気付かない)でしょうが、私のようにデータの構築に最長で20時間近く連続で動作させる場合は、CPUが持っている処理能力がかなり低下します。
アマゾンの評価を見ても、下記のような性能不足の評価が多いです。
(1)CPUのヒートスプレッダに接触する面はヒートパイプの部分だけ銅メッキが施されてるためほんの僅かですが段差が出来ています。
(2)i7でも負荷がかかってくると爆音がします。使用開始から数日で諦めて簡易水冷に交換しました。
(3)Ryzen 5600X(65W)なら問題なく冷えました。1200 RPMだと風切り音が気になったので、UEFIで1000 RPMへ下げた所、ほぼ無音です。
(4)10850kに使いました。部屋の温度は冬なんで5℃位でシネベンチでmax88℃まで上がりました。
(5)200W対応というのはどうかと。TB切ればとても安定して快適に使えますが、初心者向けというのもちょっと怪しいです。
私は日本人ですのでオウルテックは応援しておりますが、この製品だけはデザインは良いが、安いだけの製品だと思います。
実は空冷のクーラーで使い物になるのは既に判明しており、Deepcool(ディープクール)の「 Assassin Ⅲ」です。
このメーカーのこのタイプに限らず、要はこのような構成にしないとCPUは冷えないと言う事です。(これでも性能は不足気味ですが、これが限界でしょう)
色々調べた結果、冷えるクーラーの特徴として気付いた点は以下の通りです。
(1)トップフローではなくてサイドフロータイプである。
まず、トップフロータイプのCPUクーラーは、幅の狭いケース向けに設計されている場合が大部分で、冷却能力は重視していない点。
次に、トップフロータイプはCPU周辺の電源関係やメモリーの冷却には効果がありますが、空気の流れが悪く、ケース前面のファンとケース背面のファンも利用できるサイドフローには全く敵いませんのでそうなります。
(2)クーラーのファンは14cmである。
ファンは大きいほど風量が多く、音も静かなのですが、ケースの標準的な大きさから考えると最大でも14cmになります。
この大きさでも、ヒートシンクを付けているメモリーと干渉しますので、厚さの狭いファンを付けたり、ヒートパイプを曲げたり、ファンの位置を上に動かせるようにしたりしています。メモリーにヒートシンクは必要なのかですが、メーカーではメモリーチップの温度を一定にする効果があるとか言っておりますが疑問を感じております。あれは(メモリーを高く売りたいためだけの)飾りでしょう。
(3)ファンは最低でも2個搭載しないと冷却が追いつかない。
冷却能力を高めるためにフィンが巨大になりますから、ファンは2個以上必要のようです。そして冷却能力を高めるためにフィンの間隔を若干狭くしたり、ファンをセンターに配置したりしています。ファンをフィンの前後に取り付けるよりは効率的な感じはします。
(4)CPUとの接触面が鏡面仕上げになっている。
コストが掛かるので、安いクーラーはそのようになっておりませんが、CPUと密着できるのでグリスが少量でも冷却能力が低下しません。密着性が十分であればグリスはできるだけ少量の方が良いに決まっておりますので、これは重要な点でしょう。
(5)ヒートパイプは6本以上である。
CPUの接触面から伸びているヒートパイプは、どのCPUクーラーも6mmのパイプを使っておりますが、使用本数はまちまちです。
安い製品は4本ですが、これでは熱をフィンへ十分に逃がす事が出来ませんので、放熱設計の良い製品は6本以上使用しています。CPUの接触面の大きさから7本の使用が限界ですから、高級品は限界の7本を使用している製品がほとんどです。
ヤフオクで掘り出し物を探す
「 Assassin Ⅲ」を購入できれば良いのですが、私のような貧乏人には8000~10000万円もするようなCPUクーラーを購入するのは無理です。
そんなお金があったら、M2のSSDを買います。そこでヤフオクで格安品を探したのですが、そんな高級品が日常的にオークションに出ている訳はなく、例え出たとしてもあっという間に落札されてしまうでしょう。比較的に頻繁に出ているのは以下のようなタイプでした。
これと同じ物がつい先日も出ていて、2500円で落札されておりましたから、これも2500~3000円で落札されると思います。私も先日に落札しようかと思ったのですが、余りにも冷却力が弱いので止めた経過があります。ファンは12cmですが、ヒートパイプが6本あって、造りもなかなか良いようなので、売れ筋の商品だろうと思います。去年は定価で買っても5000円ぐらいの品物だったのですが、販売店が少ないのと、インフレの影響からか(この程度の商品でも)7000円以上出さないと買えないかも知れません。
この製品の後継も出ていると思いますが、コストダウン化されるだけで、性能は年々低下しているようです。
CPUに添付しているクーラーでは非力で使う気にならないが、取り敢えず動くクーラーが欲しいのであれば以下のようなクーラーなら頻繁にオークションに出品されております。例えば、https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/e1042457816?iref=ydr_30695630 や、https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d1042376535 などです。送料が別払いの商品は600~1200円が別途掛かりますので、どの出品者でも似たような金額が掛かります。
一番困るのは、必要な添付品が欠品している場合で、その場合は泣く事になります。
CPUのヘッダーは鏡面仕上げで良いのですが、ファンが1個だけに加え、放熱フィンも最新のAMDを動かくには小さく、ヒートパイプも4本では熱を逃がし切れません。CPUの温度が90度に達すると、サーマルスロットリングが働きますからCPUが壊れる事はありませんが、折角の高性能なCPUを活かし切れない状態になります。
それでも不満を感じるような(動作を必要としている)人は少ないでしょうが、私は駄目です。
ところで、このクーラーのバックプレートがAM4対応になっていないのに、どうしてAM4のCPUが取り付け可能なのか不思議だったので調べてみました。
取説を見たら納得できました。バックプレートはマザーボードに取り付いているのを流用しているのですね。
丁寧な解説の、判りやすい取り扱い説明書ですね。
大型のクーラーをつけていきなりケースに組み込むのはトラブルが発生しやすいので、このような取り付けが簡単なCPUクーラーで、机の上でマザーボードの動作の確認を行ってから組み込む用心深さが必要でしょう。尚、簡易水冷のクーラーなら静かでよく冷えると思い込んでいる人が多いですが、この考え方は常に正しいと言えないのは常識です。
AM4はCPUの取り付けに問題点が多く(スッポン現象等)、秋以降に出ると言われているAM5では大幅な改善が行われるようです。
ヤフオクを眺めていたら「MSI CORE FROZR L」と言うCPUクーラーが出品されているのが見つかりました。