最初に
Ryzen は何かと言えば、言わずと知れた AMDが開発した最新のCPUです。
パソコンに疎い方は、これだけでは全く理解不能でしょうから即刻お帰りいただきたいと思います。
ここでは、Ryzenを使ったパソコンを自作しようと考えておられる方が作った後に悔やまないためにはどうしたら良いのかについて記載しておりますので、それ以外の方には非常ににつまらない内容になっております。
最新のパソコンを作ろうと思った動機
私は競馬予想プログラムの開発をしている関係もあってパソコンは数台所有しております。なぜそんなに台数が必要かと言うと、OS別の動作チェックをするためです。Windows Xp、Windows Vista、Windows 7、Windows 8.1、Windows 10と一通りのOSを揃える必要があります。
OSには32bitと64bitがありますので、OS毎に2種類必要なのですが、Windows XpとWindow 7は両方所有しておりますが、Windows Vistaは32bitのみで、Windows 8.1とWindows 10は64bitのみです。Windows XpとWindow Vistaはとっく昔にサポートが切れ、Windows 7も(一般向けの)サポートは切れたのですが、動作が軽くてトラブルが少ないので私は現用しております。
Windows 8.1は使っている人が少ないようですが、まだサポートはしているので無視する訳にはいきません。Windows 10は操作性も悪いし、やたらネットと接続してスパイウェア的な動作が多く、私の最も嫌いなOSなのですが、猫も杓子もWindows 10を使っている現状では無視は出来ませんので泣く泣く使用はしております。
それは兎も角として、それらのパソコンに使用しているCPUは、第一世代のi7でLGA1366タイプになります。CPUは様々で i7 X980を筆頭に i7 950、i7 920、xeon x5640 などを載せております。1366系に統一したのは、メンテが楽だろうと思ったからで、CPUの性能は低いですが日常的な作業で耐えられない事も無かったからです。
ただ、i7 X980と i7 950、i7 920とはデータの取り込み時間に歴然とした差があって、i7 950やi7 920で3時間掛かる作業が i7 X980では2時間で終了しておりました。
最新のRyzenなら、第10世代の i7より性能が上なのは知っておりましたので、貧乏人の私でもそろそろ現在最高の性能のパソコンを日常的に使用するパソコンにしてもバチは当たらないだろうと考えて組み立てる事にしたものです。
ただ、私の場合は一日10時間以上は連続でパソコンを動かしておりますので、消費電力も考慮しなければなりません。いくら3時間掛かった作業が30分で終わるとしても、室内に暖房器具が必要ないような状態は望みません。
ゲームをやるつもりはありませんので、多コアで消費電力の多いRyzenでも、今まで程度の電気料金で動くのではないかと期待をしております。
CPUの選定
Ryzenを使ってパソコンを組む場合にCPUの選定は非常に重要です。私はCPUについては調べマクリました。マザーボードや、メモリーについても調べマクリました。
他の部品は今まで使用している物をだいたい流用できるのですが、この3点だけは新規に手に入れなければなりません。私の場合、入手は少しでも安くするためにオークションのジャンク品を使用する事が多いのですが、多くの販売店でもジャンク品は扱っておりますので、入手はどこでも構いません。
CPUの選定で1点だけ申し上げたいのは、Ryzenは第1世代と第2世代と第3世代と最新の第4世代がありますが、決して第3世代以前のRyzen(Zen2)を購入してはいけません。第3世代のRyzen(Zen2)と第4世代のRyzen(Zen3)は見た目は全く同じですが、CPUの性能が全く異なり、別のCPUと考えて間違いありません。
現在のオークションなどを見ていると、Ryzen7 3700X(8コア16スレッド 65W)やRYZEN7 2700X(8コア16スレッド 105W)が突出して人気がありますが、確かにインテルのCPUとは互角の性能はありますが、所詮は第3世代と第2世代のRyzenです。
1つ前の第3世代と最新の第4世代のRyzenの違いは色々ありますので細かい事はお調べいただくとして、私が敢えて申し上げるなら、第4世代(Zen3)のRyzenなら満足できる(最先端の)ゲームを行う事ができますが、第3世代のRyzen(Zen2)では無理です。
ゲームだけならたいした事はないのですが、第3世代は(PCI Express 3.0)までの対応なのに対して第4世代は(PCI Express 4.0)なのは決定的と言えるでしょう。性能比較のベンチマークならあちこちのサイトに掲載されておりますので、ここでは申し上げません。下図の赤色の枠で囲まれたCPUが第4世代のRyzen(Zen3)になります。
そこでCPUの選定は第4世代のRyzen(Zen3)になります。そうなると選択肢はRyzen 9 5950X(16コア/32スレッド 105W ¥106,480 税込)、Ryzen 9 5900X(12コア/24スレッド 105W¥71,480 税込)、Ryzen 7 5800X(8コア/16スレッド 105W¥58,800 税込)、Ryzen 5 5600X With Wraith Stealth Cooler BOX(6コア/12スレッド 65W¥39,000 税込)になるでしょう。
実際には価格と性能から考えるとRyzen 5 5600X With Wraith Stealth Cooler BOX一択となります。価格を無視できるとしても、それ以上のコア数のCPUは消費電力も多く、CPUの冷却には水冷クーラーがほぼ必須ですから、ゲーマーとかクリエイター以外の人には過剰性能と言えます。
では定価通りに買えるのか、実際の販売価格をアマゾンで調べて見ました。(2021年2月22日現在)
さすがアマゾン、ほぼ定価通りの販売をしていると思った瞬間、次の日には恐ろしい事態になっておりました。
2月22日の時点では7個の在庫があったようですが当日で売り切れたらしく、2月23日には「出品者からお求めいただけます」となっております。
その出品者リストも載っており、以下のような内容でした。
前日より1万円以上値上がりしているのにも驚くのですが、アマゾン自体でも販売していて、その値段が56653円なのですから開いた口が塞がりません。
Ryzen全体が人気商品なのと、Ryzen 5 5600X With Wraith Stealth Cooler BOXの人気が半端ではありませんから奪い合いの状態で、定価より1、2万高くても売れるようです。
もし、Ryzen 5 5600X With Wraith Stealth Cooler BOXが4万円前後で売っていたら、即購入しても(当分の間は)損はしないでしょう。ただ、目的の商品が手に入らないからと言って、(どんなに安くなっても)決して第3世代以前のRyzen(Zen2)を買ってはいけません。必ず悔やむ事になるでしょう。
マザーボードの選定
何とかRyzen 5 5600Xが手に入ったとして、次はマザーボードを購入しなければなりません。この選定も非常にミスを犯しやすいですから、注意してください。
第4世代のマザーボードはRyzen第4世代用のマザーボードを必要とするのですが、Ryzen第3世代用のマザーボードでもRyzen 5 5600Xは動作しますので間違い易いのです。この違いの大きな部分は第3世代用のマザーボードは(PCI Express 3.0)までの対応なのに対して第4世代用のマザーボードは(PCI Express 4.0)まで対応している点です。
その他にはメモリー容量が64GBと128GBとか色々ありますが、64GB以上の大容量を必要とする作業は一般の方にはありませんので、どうでも良いでしょう。
もっと大事な部分はマザーボードのチップセットの部分です。
Socket AM4環境でPCI Express 4.0を使用するにはCPUとチップセットの対応が必要で、CPUは第3世代以降のRyzenシリーズ(Ryzen APUは非対応)で、チップセットは(コスパ抜群なB450でもPCIe4.0 SSDが動作してしまったが)公式対応はX570と、B550になります。
X570とB550の違いは、X570はチップセットのPCI Expressレーンも4.0対応になりますが、B550では3.0です。ただ、B550チップセットは、CPU直結のPCI Express×16スロットのレーン数を×8+×8に分割できますので、マルチGPU構築や、拡張カードの搭載が可能になっております。ただ、マルチGPU構築するよりも、ハイエンドのグラフィックカードを買った方が遥かに性能は上ですから意味がありません。
そうなると、チップセットはX570一択となります。私の環境の場合ですが、PCケースがATX対応なので、X570を搭載したATXのマザーボードの価格を 価格コム から値段順にソートしたものを掲載します。2021年2月25日現在の価格ですが、新製品もひっきりなしに出ますし、価格も常に変化しますので参考程度にしてください。
マザーボードの値段は機能と部品の品質で決まると言われておりますが、普及品タイプの17000円前後の製品でも使用者が多いですから極端に品質の悪い製品はないと思います。
3万円以上の製品は至れり尽くせりの機能がありますが、例えば無線LANもほとんどの方は不要でしょうし、2.5G対応のLANもルーターまで揃えている方はほとんど居ないでしょう。
使用部品の品質も、廉価品のマザーボードでも直ぐに壊れるような品質ではありません。初期不良ならどの価格帯でもでます。
値段で選ぶのではなく、自分の欲しい機能があるかどうかと、自分の持っている部品を取り付けられるのかが重要だろうと思います。
ヤフオクで現在出品されているマザーボードの値段を調べてみました。2月27日時点での出品状況ですが、日替わり定食のようにほぼ毎日出品されておりますので、こまめに調べる必要があります。
強気の値段を付けている出品者が多くて、下手すると新品を購入するよりも高い値段をつけるあくどい人(無知?)も多いようですから注意が必要です。
5,6点は直ぐに見つかりましたが、掲載するのに手間が掛かりますので、1点だけ掲載しておきます。この出品の場合は、落札するのに約3万2千円が掛かりますので値段は高めです。
更に探したら、同じ品物でもっと安い出品を見つけました。これは(製品に問題が無ければ)お買い得かも知れません。
オークションの場合は、どこかで踏ん切りをつけないと、いつまで経っても落札出来ません。早まって落札して損をしたり、数年に1回の掘り出し物を見つけて得をする事も常にあります。
この出品の場合は後で見つけたのはパッケージが異なっておりますから、前の出品よりも1,2年古い感じがします。古いタイプ(初期製品)は放熱などの問題点がある場合もありますから、念のために製品のレビューなどを調べた方が良いでしょう。
気づくのが遅れてオークションは終了しておりましたが、同じ出品者が格安でMSIのマザーボードを出品しておりました。
このマザーボードはNSIが力を入れている商品で、強力な電源回路の搭載やメモリの相性問題が少ないとかで、人気があります。新品なら3万円以下では買えません。
オークションは格安で入手できる点は良いのですが、壊れた場合には保証制度がありませんので、その分リスクがあります。
ASRockもRyzenでは人気のあるマザーボードメーカーです。【サイコム】と言う冠名を付けた出品者は安い値段を付けている事が多いので入札が多いようです。
以下にSteel Legendの出品画像を掲載します。この出品のマザーボートはチップセットがB550ですが、大部分の方はそれで不都合を感じる事はないでしょう。
バックパネルが迷彩色模様なのが特徴的です。
マザーボード内部にもやたらLEDの装飾が施されております。最近のPCケースは側面が強化ガラス製が多いので、そんなケース購入者の注目を集めたいのでしょうか。
メモリーの選定
基本的にはOC(オーバークロック)対応のメモリーを選択すれば良いと思いますが、こちらもRyzenブームの影響で価格も高めで、入手難の傾向はあります。
G.SkillのRyzen 5000シリーズ向けと謳っているDDR4-3800シリーズなどが人気のようですが、 価格コム などで調べて、メーカーに関係なく売れ筋を選べば、問題ないような気がしております。
OCメモリーで動作をさせても、実感できるような差は無いようですから、安定して動く事が第一だろうと思っています。
私は実際に購入してテストをした事がありませんので、サイトに掲載されていたG.SkillのOC(オーバークロック)メモリーの形名を記載するだけにしておきます。容量的には、トータルで16GBもあれば一般の方なら十分な筈です。
●8GB×2 CL18、CL16
G.Skill F4-3800C18D-16GTZN (DDR4-3800 CL18 8GB×2)
G.Skill F4-3800C16D-16GTZN (DDR4-3800 CL16 8GB×2)
●8GB×4 CL18、CL16
G.Skill F4-3800C18Q-32GTZN (DDR4-3800 CL18 8GB×4)
G.Skill F4-3800C16Q-32GTZN (DDR4-3800 CL16 8GB×4)
●16GB×2 CL18、CL16、CL14
G.Skill F4-3800C18D-32GTZN (DDR4-3800 CL18 16GB×2)
G.Skill F4-3800C16D-32GTZN (DDR4-3800 CL16 16GB×2)
G.Skill F4-3800C14D-32GTZN (DDR4-3800 CL14 16GB×2)
●32GB×2 CL18
G.Skill F4-3800C18D-64GTZN (DDR4-3800 CL18 32GB×2)
CLは低いほうがパフォーマンスは向上しますが価格は高くなります。通常使用であればCL18でいいと思いますが、最高の性能を望むならCL16、CL14を選択してください。
一般的には、 G.Skill F4-3800C18D-16GTZN (DDR4-3800 CL18 8GB×2 ) か G.Skill F4-3800C18D-32GTZN (DDR4-3800 CL18 16GB×2) を選択します。
メモリーは長く続いた値段の高騰が収まりましたので、あせって購入する必要はないと考えております。メーカーもG.Skillに拘る必要はないでしょう。
ヤフオクでメモリーの現在(3月3日)の出品を調べてみました。ほとんどが8GB×2枚の出品です。メーカーも色々でしたが、DDR4は相性の問題が少ないと言われておりますので、極端なオーバークロックさえ望まなければ問題が起こる事は少ないのではないでしょうか。
以下の掲載画像は、こんなメモリーが欲しいなあと思った出品の例です。私に限らずほとんどの方は羨望の眼差しで見るだけだろうと思います。16GB×4個の出品で、メモリーにこれだけのお金を投入するのなら、中級以上のCPUとマザーボードが買えます。
メモリーの容量が多い利点は、多くのWEBを同時に開けるぐらいだそうで、ゲームに関しても大量のメモリーを積んでも効果あるとの話は聞きません。
デザイナーの方なら画像処理に大量のメモリーが必要なのですが、WEB閲覧で10個程度開くだけなら16GBも搭載しておけは十分ではないですか。
本当にそんなに高いのか疑問に思ったので調べて見ました。同じ品物はありませんでしたが、F4-3200C14Q-64GTZN DDR4-3200 14-14-14-34 1.35V の規格なら、2019年8月の話ですが、78,400円でした。
Akiba Watchで2020年12月に DDR4-4400メモリでRyzen PRO 4000の性能を引出せ!DDR4-2666〜4400まで性能を比較 と言う記事があり、参考になるかも知れません。
2021年まではメモリは3600MHz CL16がベストの選択だと言われております。2022年になれば Ryzen の第5世代が登場し、メモリも DDR5 になるだろうと言われております。
M.2 NVMe PCI-E Gen4の選択
実際に性能や価格を調べた事がありませんので、当面は他サイトのお薦め製品を記載します。最高の性能を狙えばキリがありませんので、一般的な性能と価格のバランスが取れた製品をリストアップします。
トップはCFD販売の SSD PG4VNZシリーズ CSSD-M2M2TPG4VNZ (2TB)です。もっとも速く耐久性もあり大本命のSSDだそうです。容量別にCSSD-M2M1TPG4VNZ(1TB)とCSSD-M2M5GPG4VNZ(500GB)があります。
過去の定番だったSamsung 970 EVO Plusは、価格が高くて性能も低いのでお薦めではないそうです。Crucial SSD M.2 500GB P1シリーズは、速度が他と比較して1/3ぐらいですが価格が半分です。Gen4対応の製品と比べると1/3の速度であっても、SATAのSSDよりは3倍速いので、予算が限られている場合はこれを選択するべきとの事です。私にぴったりですね。