SASのSSDを使う
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 SASのSSDを使う

 最初に

ここでの SAS(サス) とはSerial Attached SCSIの事を言い、コンピュータにハードディスクドライブ等のデバイスを接続するためのインターフェースです。SCSI規格のパラレル伝送のSCSI規格を、シリアル化したものです。 一般的に、個人が使用するパソコンに搭載しているハードディスクドライブはSAS方式ではなく、SATA(サタと呼ぶ人が多い)と呼ばれる方式のインターフェイスを使用したハードディスクを使用しています。 SSDとは何かにつきましては、もう誰でも知っている通り、Solid State Drive(ソリッドステートドライブ)の略です。 その特徴につきましても「釈迦に説法」になりますので、解説は省略させていただきます。
SAS_SSD1画像
ハードディスクドライブのインターフェースの話に戻りますが、一昔前にはシリアルATAではなく、パラレルATAと呼ばれるインターファイスを使用したハードディスクドライブを使用しておりましたが、最近のパソコンには搭載される事はありませんし、手に入れるのも不可能に近い状態です。
早い話が、現在は個人(コンシューマ向け)が使用するハードディスクはSATA形式のSSDを使い、企業(エンタープライズ向け)のハードディスクはSAS形式のSSDを使用している場合が多いと思われます。

SATA形式のSSDでも耐久性や安定度に問題がなければ、コスト的に有利なSATA形式のSSDが主流となるでしょう。速度的には「NVMe」が登場しておりますので、敢えてSAS形式のSSDを選ぶ必要はありません。
左記の画像はSAS形式のSSDの一例になります。型名は「SanDisk Lightning LS 300S - solid state drive - 300 GB」で、俗にいうレア物と呼ばれる製品で、製造時期がかなり古いです。
このハードディスクドライブのスペックを下段に示します。


SAS SSD2画像

見ての通り、SLCタイプで300GBの容量があり、現在では到底手に入らない(SLCの部品コストの関係で生産中止のため)夢のようなスペックのSASのSSDです。
なぜ、こんな古いタイプのハードディスクを例に挙げたのかと言いますと、企業の廃品回収業者と思しき人がオークションで出品をしていたからです。
その時の画像を以下に示します。
SAS SSD3画像
最も新しい出品時期を3例掲載しましたが、高価なせいもあってか、落札者は異なっております。初めて出品されたのは2019年の4月頃からだったと思います。
3台一組での出品でしたが、台数的には30台以上が出品されたと思います。ただ人気は無く、落札者は常に一人でした。落札者がゼロで終了した時も数多くありました。

売れ行きが今一つだったので、出品価格を下げるのを狙っていたのですが、出品者が値段を下げる事はありませんでした。
2019年の6月2日の落札を最後に出品を見かけませんが、ひょっとしたら(台数がまとまった時点で)今後に出品するかも知れません。
(これと異なるタイプのSASのSSDの出品は、この出品者に限らず、多くの出品者が常時出品しております。 但し、非常に高価で手を出せません。)


 なぜ落札者が少なかったのか

なぜ落札者が少なかったのかですが、恐らく、インターフェースがSASであったのが最大の理由でしょう。
オークションを閲覧している人は一般の方が圧倒的に多数ですから、その方達のパソコンにはSASのハードディスクは接続できません。
SASのハードディスクをSATAのインターフェイスで使えるように、全2重から半2重の変換チップを搭載した基盤はオークションでもジャンクで見かけますが、そこまでしてSASのハードディスクをSATA接続しても、何らメリットはありません。(口うるさい人は、製品の耐久性がどうのこうのと言うのでしょうが)

それと、この手の出品は当たり外れが多く、現状お渡し品(ジャンク扱い)ですので、直ぐに壊れたり、全く動作をしなくても返品が出来ません。
仮に半年で使えなくなったとしても、文句は言えないのです。
エンタープライズ向けの製品は造りが良いのですが、下手すると電源投入時間が100回で使用時間が10万時間を超えたりしているのはザラで、耐久性の心配もあります。
SATAのSSDがどんどん安くなっている現状で、わざわざリスクもあるオークションの製品を入手しないのは理解できます。

 それでも私は買ってみました

自他共に認める貧乏人の私ですが(SLC タイプの魅力とかろうじて購入できる金額でしたので)出品の初期の頃でしたが落札してみました。
それと、私はMegaRAIDのRAIDボードを数枚所有しているのですが、接続しているのはSATAのSSDなので、本来の転送能力を得られない(転送速度が半分になる)ためです。
本来の転送能力を得られないとは言っても、通常のハードディスクと比較すれば動作は軽快そのもので、全く不満はなかったのですが、試してみたい気持ちが上回りました。

つまらない能書きはこのぐらいにして、実際に接続した時の転送データを記載します。
SAS SSD4画像

LS 300Sは3台ありましたが、パソコンの取り付けスペースの関係で、2台でRAID0にした時のデータです。
ありふれたデータで、書き込み速度も遅い方ですが、この時期のSSDは(圧縮処理の関係で)書き込みが遅いのは常識でした。
使用上では、SATA形式のSSDと比較しても速度の遅さを感じる事はなく、通常のハードディスクとの比較なら雲泥の差です。
これで3年以上持って呉れれば御の字なのですが、それだけは今の時点では分かりません。(1年以内で壊れたら泣きます)

2021年1月23日現在の転送データです。 (Windows 7 32bit)
SAS SSD7画像

ジャンク品なだけに心配しましたが、当たりだったようで、現在でも快調に動作をしております。SLCですから後5年程度なら楽勝で動作すると思います。
最新のCPUとメモリーを使用すれば、これの10倍程度の速度は楽に出ますが、半端ではない出費をしますので、私には中々手を出せません。
この程度でもHDDと比較すれば月とスッポンで、もうHDDを使用する事はないでしょう。

RAIDのコネクタは1個で4台の接続ができますので、4台を接続した時にはどうなるのかデータを取ってみました。 (Windows 10 64bit)
SAS SSD8画像

OSの環境が違いますのでデータは微妙に異なりますが、同じSASのSSDを4台使っております。書き込みが遅いのがややネックでしょうか。
それと、下段のランダムアクセスは改善されないのがRAIDボードを使用した時の欠点かも知れません。贅沢な要望にはなりますが。

 同じ業者が別のSAS SSDを出品

私が購入したLS 300Sは現在快調に動いております。未だ購入してから1年経っておりませんので断定は出来ませんが、不良品では無かったようで一安心です。
この業者は、どちらかと言うと高めの価格設定が多いのですが、SAS SSDに関しては、他の出品者よりは安めの価格設定です。
あくまで推定なのですが、廃品回収業者なので製品の知識に疎く、容量だけで値段を決めているのではないでしょうか。
【注記】 廃品回収業者と断定しているのは、プロダクトキー シールを大量に出品しているからです。(まともな出品者なら、そこまで貪欲ではありません)

今日(2020年1月17日)、この業者のサイトを覗いたら、以下のような出品がありました。
SAS SSD5画像

左のの写真では文字がはっきりしなかったので、中央の写真は、似たようなSSDをWEBから拾ったものです。(仕様も同様)
今日が初めての登録で、同じ品物が5,6台終了日時を変えて出品されているようです。
不良品でなければ、3000円なら(相場としては)安いので、注目をしております。

TLCで十分と感じる方には見向きもされないでしょうが、SASのRAIDカードを持っている方は気になると思います。
転送速度が 6Gbps なので、3、4台でRAID で組めば、LS 300Sよりは高速になるだろうと考えております。
心配なのは耐久性がどうなのかですね。 最低でも5年は使えて7年持てば御の字なのですが。(欲張り過ぎかな)

この後、どうなったのか気になる方のために、落札状況を記載しておきます。
SAS SSD6画像

この出品は、その後も続いて、トータルで10台程度はありましたが、全てを同一人物が落札しておりました。
私も、出品価格が2500円以下なら、2,3台を落札したと思いますが、ちょっと割高の感がしましたので見送りました。
私の感覚では、是が非でも手に入れたい商品ではありません。

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